記事の内容
はじめに ― 空を失った国が、空に戻る時
第1回では、トランプ大統領の再登板が「ピンチでありチャンス」だとお話ししました。
今回はその具体例として、日本がかつて背負った「空の封印」に迫ります。
戦後、GHQの命令で日本は飛行機を作ることすら禁じられました。
夢を断たれた技術者たち、途絶えたノウハウ。
その「飛べない15年」が、今も日本の航空産業を縛り続けています。
GHQが課した「飛べない15年」 ― 技術者の夢が消えた日
1945年、日本の空は地上に縛りつけられました。
GHQの占領政策により、航空機の製造は禁止。ゼロ戦を設計した技術者たちは農機具やバスの設計に回され、若い世代は「空を描く権利」を失いました。
ある技術者はこう語ったといいます。
「もう一度、翼を設計できる日は来ないのかもしれない」
その15年の空白は、日本の航空産業から大切なものを奪いました。
技術だけでなく、“夢の継承”そのものを。
MRJの挫折 ― 空白のツケを払わされた挑戦
やがて日本は再び空を夢見ます。三菱重工が挑んだ国産旅客機MRJ。
しかし結果は、試験飛行を重ねても認証の壁に阻まれ、世界の空に羽ばたくことはできませんでした。
原因のひとつは、戦後途絶えたノウハウ。
そしてもうひとつは、アメリカのFAA(連邦航空局)が握る「型式証明」という高い壁。
空白の15年で失われた技術の積み上げが、世代を超えて尾を引いたのです。
トランプ再登板と「規制緩和」 ― 新しい風が吹く
2025年、トランプ大統領がホワイトハウスに戻り、アメリカでは規制緩和が大きなテーマとなっています。
- 超音速旅客機への規制緩和
- ドローンや次世代航空機の飛行ルール見直し
- 航空宇宙産業の国内優遇
「アメリカ第一主義」というわかりやすい論理の裏で、“空に挑む自由”が広がり始めています。
その風は、日本にとってもチャンスになり得ます。
空白を埋める「3つの未来戦略」
日本が選ぶ道はひとつです。
過去を言い訳にせず、未来の空を描き直すこと。
1. 小型機市場
離島や過疎地を結ぶ「空の電車」。ドローン物流や軽飛行機で、日本ならではの需要を掴む。
2. 技術投資
エンジンや翼だけでなく、AI制御や次世代素材。空を飛ぶ物語は“工学の総合芸術”に広がる。
3. 国際連携
アメリカ依存から脱却し、アジアや欧州と共に新しい基準を作り出す。世界の空をデザインする挑戦。
まとめ ― 奪われた空を、もう一度
戦後、日本は空を失いました。
しかし、空への夢は消えていません。
トランプ政権が生み出す規制緩和の波は、日本にとって「もう一度翼を広げる」チャンスです。
過去に縛られるのではなく、未来を描き直す。
奪われた空を取り戻すのは――まさに今です。
次回予告
次回は「酒造・文化編」。
戦後の酒税統制が阻んだクラフトビールや自家醸造文化の可能性を描きます。
「奪われた文化」が、今ようやく解放されようとしています。
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